こんにちは! 英語教材の編集者のあきかんです。
タイトルにあるように、以前は出版関係の職につき、主に英語教材の編集をやっていました。「英語教材の編集者」と聞くと、「英語の仕事をしていたんだったら、英語はペラペラだよね」と思いますよね。
でも実は、得意なのは英文法だけ。英語を聞いたり、話したりするのは全然だめなんです……
教材の音声は聞けるのに、実際のネイティブの会話になると何を言っているのかさっぱり。毎日のように英語に関わっているのに、なぜそんなことになってしまったのか。
今回は、英語教材編集者でも「英語が話せない理由」を、正直に書いてみようと思います。
目次
英語教材の編集者でも、英語が話せない……
私が英語教材の編集の仕事を始めたのは、8年前のこと。大学卒業後、ご縁があって中学・高校英語の参考書づくりに携わることになりました。
あきかんの「英語学習の歩み」については、プロフィールでお話しています!

はじめまして! このブログを書いているあきかんです。 20代前半までは英語教材の編集者として出版関係に勤務していました。現在はフリーランスで、英語教材に限らず幅広いジャンルの編集・ライティングをしています。 これまで、小学生向けから高校、社会人向けの英語教材など、いろんな英語教材を作っ...
みなさんが、中学校や高校で使っていた「英語ワーク」や社会人向けの単語帳など、何十冊と作り、さまざまな英語に触れてきました。その頃になると仕事に対する自信も出てきていたのですが、一つだけ問題が……
それは、英語が話せないということです。

あきかんさん、英語教材を作ってるんですね! やっぱり英語はペラペラなんですよね?

いや〜、私は編集だけなんで……、英語は日常会話レベルですよ……
こんなやりとりを、これまで何度経験してきたことか……
もちろん英語教材の制作では、リスニング問題などにも携わりました。リスニングが苦手な私でも、教材を作り続けたら自然と英語に慣れていったのは事実。実際に、リスニング音声のチェックも問題なく行っていました。
でも現実は、ろくに英語がしゃべれない。英語教材を作る立場なのに、自分の英語力はまったく向上しない。
しかし、そこには大きな落とし穴があったのです!
「英語教材」と「ネイティブ英語」の違い
私が英語を話せなかった理由は、今でははっきりわかります。その理由は、英語教材とネイティブ英語の“違い”にあったんです!
リスニング教材の制作では、ネイティブのナレーターさんの音声収録に立ち会う機会が何度もありました。また、録音された音声をチェックするために、同じ英語を繰り返し聞くこともしばしば。そうした日々のリスニングのおかげで、自然と「英語、だんだん聞き取れるようになってきたかも!」という手応えを感じていたんです。
でも、それは大きな勘違いでした。
その勘違いに気づくきっかけとなったのが、実際に海外に行ってネイティブの人たちと接したときのことです。ホテルのチェックインのため、受付スタッフの方に話しかけたのですが、彼らの英語がまったく聞き取れなかったんです……

あれ?なんで? 聞こえない。わからない。教材で鍛えたリスニングは意味がなかったの?
帰国後は、わりと落ち込んでしまいました。どうして、英語教材のリスニングは聞き取れるのに、現地の人々の英語は聞き取れないのか。でも、そんなこと、少し考えてみれば簡単にわかることでした。
それは、英語教材のリスニング音声は、すべてプロのナレーターによる“きれいすぎる英語”だったからです。
発音もスピードも、とにかく丁寧すぎるほど整っていて、まさに“理想的な英語”。それに比べて、現地のリアルな英語は、なまりがあったり、リズムやスピードが独特だったりと、まったく別モノ。
英語教材に慣れていたら、実際のネイティブの会話が聞き取りにくく感じるのも、無理はないですよね。
ネイティブ英語:ネイティブ特有のイントネーションやスピード感ある英語
これって、英語を話したいと一度でも思ったことがある人なら、共感してもらえるんじゃないかと。海外旅行先や英語圏の映画・ドラマで「え?今なんて言った?」ってなる、あの感じ。私もまさにその一人だったんです。
しかし、この気づきが私の英語学習法を見つめるきっかけになったんです!
「イマージョン・ラーニング」という英語学習法
英語教材の落とし穴に気づいた私ですが、あるもう一つの気づきも得ました。それは「英語は聞き続ければ慣れる」ということです!というのも、英語教材の仕事を始める前の私は、正直なところ、英語のリスニングがかなり苦手だんたんです。それが、毎日のように音声を聞き続けるうちに、いつの間にかある程度は聞き取れるようになっていました。

「そんなの当たり前だよ」と思うかもしれませんが、これはリスニングが苦手な私とってはとても大きな気づきでした!
もちろん、それは「きれいな発音」の英語に限った話ですが、ネイティブの独特なリズムやスピードの英語も、同じようにとにかく聞き続ければ、きっと聞き取れるようになるんじゃないか——。この仮説をもって、インターネットで調べてみると「イマージョン・ラーニング」という学習法に出会いました!
以下では、イマージョン・ラーニングについて解説していきます!
イマージョン・ラーニングとは
イマージョン・ラーニング(Immersion Learning)とは、Immersion「浸す」という意味が示すように、英語漬けの学習法になります。つまり、「英語を学ぶ」のではなく、「英語の中で生きる」ような学び方ですね。
この学習法は、アメリカの言語学者スティーヴン・クラッシェン(Stephen Krashen)氏の「インプット仮説」という理論に基づいています。クラッシェン氏は、「言語は理解できるインプットだけで習得できる」と主張しています。つまり、文法の暗記やアウトプット練習よりも、“意味のわかる言葉をたくさん聞くこと”が大切だという考え方です。
毎日少しずつ、英語を自然な形で取り入れていくことで、英語に対する“感覚”を育てていく感じですね。
●授業はすべて英語で行われる
●英語のテレビ、映画、ラジオ、SNSなども日常的に取り入れる
●家庭や学校で、なるべく英語だけで過ごす
YouTubeチャンネル「ユートのチャンネル」では、イマージョン・ラーニングについてとてもわかりやすく解説されています。
ユートさんご自身も、海外ドラマやYouTubeをひたすら見続けることで、たった2年で字幕なしで海外ドラマを楽しめるようになり、英語も話せるようになったそうです。
動画は少し長めですが、英語学習のモチベーションを高めたい方には特におすすめです。
ぜひ一度、チェックしてみてください!
イマージョン・ラーニングのメリット
イマージョン・ラーニングの大きな魅力は、単語や文法だけでなく、英語の「実際の使い方」を自然に身につけられる点です。日常会話はもちろん、ビジネスや専門的な場面でも使える表現力が育まれます。また、ネイティブの発音やリズムを日常的に聞くことで、リスニング力や発音が磨かれ、英語らしいイントネーションも自然と身につけることができます。
さらに、言語だけでなく、その背景にある文化や価値観にも触れられるので、より深い理解とグローバルな視野も養われるのは大きなメリットではないでしょうか。たとえば海外ドラマやYouTubeを通じて、ネイティブの英語とともに異文化にも自然に触れられるのは、まさにその良い例ですね!
2. 自然な発音やイントネーションが身につく
3. 学習のモチベーションが高まりやすい
4. 異文化理解が深まる
とはいえ、どんな学習法にも良い面と注意点があります。イマージョン・ラーニングも例外ではありません。
イマージョン・ラーニングのデメリット
英語に日常的に触れられるとはいえ、短期間で劇的な効果を期待するのは難しく、継続的な努力が必要です。また、間違いを恐れるタイプの人にとっては、英語漬けの環境がストレスになることも……。また、文法や仕組みを理解してから学びたい人には、向かない場合もあります。
2. 誰にでも向いているとは限らない
イマージョン・ラーニングを成功させるうえで大切なのは、どれだけ「日常的に英語に触れているか」ということです。とくに、「英語に触れた日数」よりも、「英語に触れた総時間数」が重要です。
たとえば、アメリカ国務省の下部組織であるFSI(Foreign Service Institute)による調査では、英語を母語とする人が日本語を問題なく話せるようになるまでに、約2200時間の授業が必要とされています。つまり、逆に日本人が英語をしっかり話せるようになるためにも、少なくとも2200時間以上のインプットが必要だということになります。
たとえば「2年間で英語を話せるようになりたい」という目標を立てたとします。その場合、必要な学習時間は約2200時間。単純計算で、1日に3時間以上ネイティブの英語に触れる必要があります。しかもこの2200時間はあくまで目安。人によっては、さらに時間をかける必要も出てくるかもしれません。

2年=730日なので、2200時間 ÷ 730日=約3時間
毎日3時間ずつ英語に触れる必要があるというわけです。
だからこそ、イマージョン・ラーニングを続けるには、日常のあらゆるスキマ時間を活用することがカギ。たとえば「起床後の1時間」「通勤・通学中の1時間」「寝る前の1時間」など、生活にうまく組み込む工夫が大切です。
実際、私もイマージョン・ラーニングを始めて1ヶ月が経ちますが、この「時間をつくる」ことが一番大変……それでも「英語を話せるようになりたい」という気持ちで、なんとか続けられています(笑)
イマージョン・ラーニングの活用法
私もイマージョン・ラーニングを始めて1ヶ月。朝の1時間、通勤中、寝る前など、すきま時間を使って英語の音声に触れる習慣を続けています。とはいえ、ただ聞き流すだけでは効果を実感しにくいのも事実です。
そこで今回は、実際に取り組んでわかった「効果的なイマージョン・ラーニングの活用法」をご紹介します。字幕があれば少しずつネイティブの英語も聞き取れるようになってきていると感じているので、ぜひ参考にしてみてください!
1.海外ドラマや映画を英語音声&英語字幕で観る
まずは自分の好きなジャンルでOK! 最初は内容がわからなくても大丈夫です。同じドラマや映画を繰り返し観ることで、英語のフレーズやリズムが自然と耳に残るようになってきます。
例:NetflixやDisney+で英語字幕をONにして視聴
2. YouTubeでネイティブの動画を視聴
Vlog、ニュース、英会話チャンネルなど、ジャンルは自由。YouTubeは再生速度を落とすこともできるので、早すぎるなと感じた場合は速度を落としたり、聞こえたフレーズを真似してみる(シャドーイング)も効果的です。
3. スマホやPCの言語設定を英語に変える
毎日目にする設定画面やアプリを英語にすることで、生活の中に英語が入り込んできます。
例:「設定」→「言語と地域」→「英語(English)」に変更
4. 英語のポッドキャストやオーディオブックを聴く
通勤・通学・運動中など「ながら時間」を有効活用。耳を鍛えるのにぴったりです。例:SpotifyやAudibleなどで興味のあるコンテンツを聞く
これらのイマージョン・ラーニングの活用方法を実践して、「英語がある生活」を日常に取り入れてみましょう。最初はわからないことが多くても、続けていくうちに耳が慣れ、フレーズや発音が少しずつ自然に身についてきます。
ポイントは「完璧を目指さないこと」と「とにかく続けること」です。無理に理解しようとせず、「英語に触れる時間を積み重ねること」が、イマージョン・ラーニング最大のコツです。私自身もまだ道半ばですが、「あれ、今の単語聞き取れたかも」と思える瞬間が少しずつ増えてきて、英語学習が前よりも楽しくなってきました。
英語を“勉強する”から、“生活に取り入れる”へ。そんな感覚で、あなたもイマージョン・ラーニングを始めてみませんか?
まとめ
以上、「英語教材」と「ネイティブ英語」の違いやイマージョン・ラーニングの実践について紹介しました。
それでは今回の記事のおさらいです。
2. イマージョン・ラーニングとは
3. イマージョン・ラーニングのメリット
4. イマージョン・ラーニングのデメリット
5. イマージョン・ラーニングの活用方法
このブログでは、これから英語をやり直していく私の記録、特にイマージョン・ラーニングの実践について、正直に綴っていきます。「英語を仕事にしていた人でも、話せないことはある」「でも、話せないからこそ学び直せる」などの視点を、今まさに英語に悩んでいる方と共有できたらうれしいです。

今はまだ、英語を話せませんが、だからこそ、みなさんと同じ目線で学べるはずです!
このブログを通して、「もう一度英語を頑張ってみようかな」と思える人がひとりでも増えたらうれしいです。
一緒に、話せる英語をめざしていきましょう!
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